ひとりごと
〜2003.June〜

リッチでないのに リッチな世界などわかりません
ハッピーでないのに ハッピーな世界などえがけません
「夢」がないのに 「夢」をうることなどは…とても
嘘をついてもばれるものです


杉山登志「遺書」より




6.28 sat.

今年も夏バーゲンの季節がやってまいりました。
バーゲンといえば・・・もうお分かりですよね(笑)。
今回も、当サイト開設以来の大問題である
「お買い物クマ(orウサギ)論争」ネタ、行ってみたいと思います。
というのも、今回の西部夏市では、これまでの「クマVSウサギ」という、
議論の大前提となっていた対立関係を根底から覆すかもしれない
事件が起きているのです。





とりあえず、発端となった論争は2001年西武冬市のこのネタ。



それに続く「お買い物クマ(ウサギ)」ぬいぐるみ事件の顛末がこちら。





その後も、バーゲンの季節になる度に物議を醸してきた
この憎いヤツなのですが、今年の夏市では、衝撃の事実が明らかに・・・
なったようにも思えなくもないような気がしないでもないのです。






つまり、ヤツはクマでもなく、ウサギでもなく、コイツの一種だった(?)可能性が
出てきてしまったのです。






・・・クマ、ウサギに加えて、ネコまで入り乱れての
大混戦になってしまったバーゲン戦線2003夏。
買いたいものはたくさんあるのに、お金がありませぬ。






フリーターにもボーナスが欲しいと心から思う、雨の土曜日の午後。










6.18 wed.

ジョンレノン亡き現在、私が最もリスペクト(ノット尊敬)する
アーティスト(ノット芸術家)、フジファブリックの2ndアルバム
「アラモード」が発売となりました。






先日、音楽好き(でも私とは趣味が全く違う)の友人と話していると、
「フジファブってどこがいいの?」と逆に聞き返されてしまいました。
そう言われると返答に困ってしまうのですが、とりあえず、特筆すべきは
そのメロディの美しさでしょうか。



「喫茶ロック」系の方々に相通じる部分もありながら、
それほどオシャレという訳でもないのです。
むしろボーカルはねっとり男の子系。
小沢健二やカジヒデキといった「元気いっぱい男の子系」と違って、
こちらはあくまで「男の子」でありつつ、妙にとろりなめらかな感じ。






サウンドは基本的にロック。但しよく「和風テイスト」と表現されるように、
短調で、情念たっぷりな感じの歌も多し。やっぱりねっとり。
このねっとり加減が嫌味にならない程度に、良い意味で和の心をくすぐる
ロックになっているのが、フジファブの最大の特徴でしょうか。






去年から数えてもう7、8回ライブに足を運んでいますが、
いや、もっと売れていいと思う。このヒト達は。



確かに演奏はまだまだ荒削りだし、ライブも「ショー」としての完成度から見れば
まだインディーズのの域を出るものではないのですが、
ありそうでないんですよ。こーゆー音楽って。まさに隙間産業。



ライブチケットが取りにくくなるのは確かに痛いのですが、
それ以上に、早く対バンなしの単独ライブが見たいので、
皆さん、買ってやってください。別にレコード会社の回し者ではありませんが。






ちなみに今回の2ndは、1stに較べると、かなりテクニカルな感じになってます。
前回のは(お金のないインディーズの作品にはよくあるケースですが)どうしても
音の数そのものが少なくて、その意味ではちょっと物足りない感じもしたのですが、
今回、音そのものは確実によくなってます。音数も格段に増えてるし。


ただ、その分1stがシンプルにメロディを聴かせるアルバムだったのに対し、
今回は全体的にちょっとひねった感じです。好みは別れるところですが。
個人的には、M1「花屋の娘」がかなりのツボです。妄想系純和風パワフルロック。






ところで、覚えているヒトの方が少ないと思いますが、
昨年12月12日のニッキで、私はフジファブ唯一の女性メンバーの
突然の脱退劇について、様々な想像をめぐらせました。



ちなみに、今回発売されたアルバムの最後に、
「笑ってサヨナラ」という曲が収録されています。



気づいた時には遅すぎて 彼女の涙に困ってた

笑ってサヨナラしてから 間違い探しをしていた
どうしてなんだろう 間違い探しをしていた

ここ何週間か僕は 一人でいろいろ考えた
どうしてなんだろう どうしてなんだろう なんでだろう



この曲、脱退後「何週間か後」のライブで新曲として演奏されました。
最初に聴いたときは、「要するにそういう訳だったのね」と思ったものですが、
今回歌詞カードを見ながら聴いてみて、改めて思いました。






つまり、要するに、そういう訳だったらしいです。






あとは、各自好きなように解釈してください(笑)。






ちなみに、この「笑ってサヨナラ」も、泣きの名曲です。
ライブ会場で、聴きながら涙ためてる女性客が何人もおりました。
ぜひご一聴を。






Say Hello to Max Weberは、フジファブリックを強力リスペクト(笑)しています。











6.8 sun.

「学術書」と呼ばれる本は、何故にこんなに難しいのか。






一冊でも読んだことのある人には分かっていただけると思うのですが、
まず、専門用語が多く、辞書(それも「社会学辞典」みたいな専門のやつ)が脇にないと
とてもではないけど読み進められません。まるで大学入試の長文読解問題解いてる気分。



まあ、社会学を志す人間として、用語は覚えなければ仕方がないとしても、
だいたい句点と句点の間が長すぎ。主語がどれで述語がどれなのか、
これも英語の長文読解みたいなことを考えながら読まないと、文意を読み取ることができません。
一応、得意教科は現国だったので、人並みの国語読解力は持っている・・・つもりなのですが。






そもそも社会学という学問自体が、日常の些細な問題に何だかんだ理屈をつけて
難しくこねくり回す理論なので、出来上がった文章もそうなってしまうのはある意味当然なのですが、
私らみたいに、まがりなりにも「ポピュラー文化」を研究テーマとしている人が、
一般の人には全く理解不能な言葉を連ねてもね・・・何だかなあという気がします。






今日は、そんなこんなで悩んでいるアナタ(ワタシ?)にぜひ読んで欲しい一冊をご紹介。




東浩紀 著「動物化するポストモダン〜オタクから見た日本社会」(講談社現代新書)




本文から内容をざっと紹介してみると、こんな感じ。



いま、日本文化の現状についてまじめに考えようとするならば、
オタク系文化の検討は避けて通ることができない。
本書の企図は、オタク系文化について、そして日本の現在の文化状況一般について、
当たり前のことを当たり前に分析し批評できる風通しの良い状況を作り出すことにある。






また何だか難しいこと言ってるような気もします。実際、言ってること自体は結構難しいです。
ベンヤミンやボードリヤール(ワタシの頭を痛めつけ続ける方々)といった社会学の古典的な理論や、
ヘーゲル哲学(私にもよく分からん)なんてのまでが引き合いに出されます。



しかし、そんな小難しい諸理論はちょっと覗き見するだけで簡単に素通り。
結局、著者が何を分析しようとしているのかというと、タイトル通り「オタク文化」なのです。
具体的には「エヴァ」「コミケ」「萌え」「デ・ジ・キャラット」「Air」「YU-NO」その他諸々。
興味のない人には、これらも十分理解不能な言葉の羅列でしょうが(笑)。






いや実は、この著者、正真正銘の「オタク」なのです。
こんな書評かいてる時点で私も片足突っ込んでるのかもしれませんが、
完全に、どっぷりと、浸かってます。この人は。



何せこの人、日本で初めて、講談社現代新書に[図]として「でじこ」やら「マルチ」やらの画像を
掲載してしまった人ですから。しかもきちんと解説つきで(笑)。



しかも、こういったオタク文化を通したポストモダン社会の分析
(もしくはポストモダン思想を通したオタク文化の分析)が、また明快で面白い。
片足と言わず小指一本でもこの世界に触れたことのある人には、
思わずにやりとしてしまうであろう表現が満載です。






秀逸なのは、その結論部。著者は現代日本社会を象徴するものとして、ギャルゲー「YU-NO」の話を
持ち出します。消費の二層化と現実感覚の超平面化という、それだけ聞くと何だかよく分からない
ポストモダン的な思考を、氏はこのゲームを使って、実にすっきりと説明するのです。
いやこれが、単純に、読んでておもしろい。



([YU-NO]:「ギャルゲーであり、構造的にはシナリオ分岐型のアドベンチャーゲームである。
ゲームの基本的な目的はキャラクターたちの攻略に有り、五人いる主要なキャラクターごとに
シナリオが分岐し、それぞれの途中でポルノグラフィックなイラストが鑑賞できるシステムに
なっている(本文より)」 茶有が最後までクリアできた唯一のアドベンチャーゲーム)






私も含め、ポピュラー文化を研究しようとする人がしばしば陥りやすいのは、

1.その文化自体をよく知らずに論じてしまい、実際にコミットしている人から厳しい批判を受ける。
2.論者自身がコミットしすぎてしまい、単なる「オタクの立場からの解説書」になってしまう。

という二点です。



その点、この著者、筋金入りの「オタク」でありながら、極めて冷静に、
しかしその豊富な知識を駆使して論を展開していきます。
オタクを批判するのではなく、過剰に持ち上げるのでもなく、あくまで文化評論として淡々と語るスタンスも、
私のような「準オタク」や、「非オタク」の人間には非常に入り込みやすく、また説得力を感じます。






本格的なものではなく、ちょっとだけ社会なんてモノについて考えてみよっかなー、という気分のとき、
ぜひ読んでみてください。お勧めです。
と同時に、これから研究し論文を書く際に、絶対に忘れてはいけないことを示唆してくれる本。






できれば、アニメやらコミケやらギャルゲーやらの予備知識を「ほんの少し」仕入れてから読むと、楽しさ倍増です。
別に全身どっぷり浸かる必要はないので(笑)。








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