ひとりごと
〜2004.July〜

哀愁なんてどこにもなかった 街の色は透明だった
オレンジ色の田舎の景色は どこにも見当たらなかった

(ジャパハリネット「哀愁交差点」より)




7.28 wed.

気鋭の音楽社会学者、増田聡氏のサイト(いつもお世話になっております…)。



その掲示板に寄せられた、同じく社会学者の辻大介氏からの情報。
確かに興味深いサイトだったので、こちらでも紹介させていただきます。



「JASRACを考える。」



確かにJASRACや大手レコード会社を「諸悪の根源」にしてしまうのは、
ゲームとネットとホラー映画を根絶すれば少年犯罪はなくなると思ってる
どっかの誰かさんと同じで、問題の単純化以外の何ものでもありません。
この辺りに関しては、増田氏・辻氏の意見に全面賛成です。



ただ、現行の組織や制度が金属疲労を起こしていることには疑問の余地はなく、
既得権益の保護のために既存の制度に固執する彼らに対して、いち消費者として、
やはり怒りを抑えられないのです。



自分にはサイトを広めることくらいのことしか出来ないけれど、
だからこそ、せめて出来ることだけでも、こつこつと。





7.27 tue.

初めての人とカラオケに行くと、私は氣志團(ex.One Night Carnival)を
よく唄います。その他、真心ブラザーズ(ex.スピード、拝啓ジョンレノン)や、
サザンオールスターズ(ex.勝手にシンドバッド)も。
要するに、早口系やら、セリフシャウト系の曲をよく唄うのです。



大抵の人は「茶有って真面目そうなイメージあったのに、意外ー」と驚きます。
まあ自分も、ある程度はこの反応を予測しつつ、その驚く周囲を見るのが
楽しくてやってる部分もあるのですが…とゆーか、それだけのために
やってると言っても過言ではないのですが。



だから自分にとって、カラオケで唄う氣志團(特にワンナイ)は、
基本的には一発ネタです。同じメンバーで二回目以降行ったときには、
原則として唄いません。先輩に強く勧められたりとか、悪ノリした周囲が
私の知らない所で勝手に入れてしまい、結局唄うハメになる、というのは
よくあるパターンですが。






でも、今日ゴッフマン(アメリカの社会学者)の行為論を読んでて、
自分が持っている自己イメージと自分の取っている行動について、
ちょっと考えさせられた。






つまり自分は、周囲の人が自分に対して持っているであろう
「超真面目キャラ」というイメージの有利な側面・不利な側面を
十分に認識した上で、その不利な側面を少しでも有利な方向へ
持っていくために、あえてそのキャラとは対極にあるような
言動を採り、極端な自分イメージを中和させているのではないか…と。



要するに、みんなが自分を「真面目な人」として見てくれる事が、
自分にプラスに作用することもたくさんあるのですが、それが例えば
「堅そう」「つきあい悪そう」などのマイナス評価に転じてしまうことも
往々にしてある訳です。特に自分は酒飲まないし。



自分が氣志團を唄うのは、すこし極端なはっちゃけネタを見せることで、
その「超真面目」イメージによって被るマイナス評価を少しでも軽減させ、
自らのイメージを戦略的に中和させるためなのではないかと。
そんなことを考えてしまった訳です。






考えてみれば、他にも思い当たるフシがたくさんあるような気がする。



西武の「お買い物クマ」を「ウサギ」と言い張ってみたり…。


モー娘。ファン(しかも紺野ファン)を公言して憚らなかったり…。


部屋に犬のぬいぐるみがたくさん(現在6匹!)あったり…。


サンボマスターの絶叫ライブで、足が棒になるまで飛び跳ねてみたり…。


なぜかピンク色の携帯を持ってみたり…。


その携帯に都バスのマスコット「みんくる」のストラップをつけてみたり…(笑)。






もちろんホントに好きだからやってる訳ですが、実は、本当に私が好きなのは、
そんな自分を見て、真面目イメージとのギャップに驚く周囲の人たちの
様子なのかもしれません。






…おぬしもワルよのう。ふぉっふぉっふぉ。











7.16 fri.

7月に入ってから、アクセス数が急増中。
おそらくgreeから来てくださった方々かと思いますが…。
いや、スンマセン、更新遅いサイトで。
気長につきあっていただければ幸いです(笑)。





さて、今日のお話。
ポピュラー文化について研究しようとすると、絶対に避けては通れない
テーマとして「文化帝国主義」の問題が浮上してきます。



ものすごく大雑把に説明すると、ハリウッドやコカコーラやディズニーや
マクドナルドといった欧米文化が、その圧倒的な資本力で非欧米諸国に
進出していくと、その土地固有の文化が破壊され、結果として世界レベルで
文化の多様性が失われ、均質化してしまうのではないか、という問題です。






アメリカ人が本当にマクドナルドを「美味しい」と思っているのかについては、
私には分かりません。しかしながら、アメリカの考え方の根本には、
「自分たちの思想は全世界に広められるべきものである」という根拠のない
自信があります。そして、それに基づき非欧米諸国への「普遍性の強要」が
行われた結果、ベトナム戦争、イラク戦争などが起こってしまった訳です。
文化帝国主義の本質的な問題点は、ここにあると考えられます。






そしてこの問題は、オリエンタリズムといった感覚と密接に結びついています。
欧米人が東洋に対して抱くこの感覚は、その裏に「文化的に優越した西洋」と
「遅れた東洋」という、おそらく本人にも無自覚な帝国主義的意識が
内包されていると考えることができる訳です。



これは実は身近な問題で、例えば私たちが東南アジアの民芸品などを
見つけたときなどに使ってしまう「エキゾチック(exotic)」という言葉。
これは、元は「珍しい」「風変わりな」という意味で、それが転じて
「異国情緒のある」という意味で使われています。



ただ、現地の人にとってはそれは「珍し」くも「風変わり」でもない訳で、
よく考えると失礼な言葉です。「エキゾチックでステキ」というと、何となく
プラスに評価しているように聞こえますが、そこには本人にも無自覚的に、
「日本から見て風変わり」という極めて帝国主義的な意識が内包されているのです。






で、特にポピュラー文化を扱う人間は、この辺に極めてデリケートで
いなければならないのですが、そうは思いつつ、つい東アジア料理の
ことを「エスニック(ethnic=民族特有の,魅惑的で風変わりな)料理」と
呼んでしまう自分がおる訳です。









さて、ここまでは長いイントロで、実はここからが今日の本題。









昨年4月8日のニッキで、私は東武線と東急線の終わることのない
沿線対立について書きました。



茶有は、一歩間違えば、東武鉄道株式会社に就職してしまっていたかも
知れない程の(実話)東武ファンです。実際に利用する機会も多いので、
公正中立を装いつつも、個人的な心情としてはかなり東武側に
肩入れしていたりもします。






この東急―東武戦争について、東急サイドからの視点で見た
面白い文章を見つけたので、紹介したいと思います。






原武史「鉄道ひとつばなし」(講談社現代新書)には、昨年、東急と東武が
半蔵門線で一つに結ばれたときの様子が、次のように描かれています。



田園都市線沿線に長年住んできた私にとって、これは大きな変化を意味した。
(…)一体誰が、この線に「急行南栗橋ゆき」の電車が走ることを予想し得ただろうか。



ちょっと、簡単に解説をば。
東急田園都市線は、田園調布など高級住宅地開発を
推し進めてきた東急ブランドの象徴のような路線です。
全ての列車が地下鉄半蔵門線へ直通運転しています。



昨年3月に半蔵門線が押上駅で東武伊勢崎線とつながり、
東急―東武間で相互直通運転が始まりました。
南栗橋は東武側の終点になります。この辺りまで来ると、
東京の郊外というより単なる北関東の田舎の域に入ってきます。



続けて原氏の観察。



しかし、三月に入っても、東急の各駅では、相互乗り入れに関する広告を
ほとんど見かけなかった。押上や南栗橋の文字は、ホームのどこにもなかった。
東急は、できればダイヤ改正の実態をひた隠しにしておきたかったのではないか。
実際、19日(茶有注:相互乗り入れの開始日)に乗った電車の行き先や車体を見て
仰天した東急の利用客はかなりいたと思われる。



これと全く対照的だったのが、東武の各駅だった。(…)東急とは正反対に、
東武は浅草をターミナルとする「社是」からもはや完全に脱却し、営団や
東急と一体化して東京西部とのつながりを蜜にすることに活路を見いだそうと
しているように見えた。






そしてこの後、原氏は東急の駅構内や駅前の店が完全にチェーン店化
されていること、そしてそれに対して、今でも土着的な(さびれた)
「レストラン アライ」を駅構内で営業させている東武動物公園駅の
例などに触れ、「東武の度量の広さに感じ入った」と述べています。
そして、次のようにまとめるのです。



けれども、営団や東急との相互乗り入れを始めた東武が、非対称の関係を
解消すべく、東急の文化に自ら積極的に同化してゆかない保証はない。
その逆が絶対にあり得ないことは、開通前における東急と東武の、
ダイヤ改正を受け止める温度差に明らかである。



東急沿線に住んできた私の眼が、東武を見る際に「オリエンタリズム」
(「東洋」ではなく「東武」!)に規定されていることは、自覚している
つもりである。東武はこれまでの文化に誇りを持つべきだなどという
言い草も、その裏返しのように思われてならない。どれほど可能性が
小さくとも、両者の文化がうまく折衷され、その中から東急でも
東武でもない新しい文化が生まれてくることを、切に願ってやまない。






・・・目からウロコ。
そっか。そーゆーことだったのか。オリエンタリズムって。文化帝国主義って。



1.暴力的に他国に侵入していく強者 (東急電鉄)


2.自国の文化がもつ帝国主義性に無自覚な、大多数の国民 (東急ユーザー)


3.経済発展のため、強者を積極的に受け入れなければならない非先進国 (東武鉄道)


4.先進国文化を、むしろ進んだ文化として積極的に受け入れようとする大多数の国民
(東武ユーザー)

5.先進国文化を暴力的とし、土着文化を守ろうとする一部の国民
(茶有を含む、ごく一部の東武信奉者)



…この5者のそれこそ「せめぎあい」なんですね。文化帝国主義の問題って。






頭では分かっていたことだけど、実際自分が「弱者」の立場に立って、
改めて感じる問題のなんと大きなことよ。



そして原氏は最後の段落でそのものズバリ「文化節合」について
言及している訳ですが、その実現のなんと困難なことよ。






あの赤と緑のケバケバしい東急電車を、東武土着文化とどう節合させるのか。
何とかしてこれを見いださなければ、自分の研究の大前提が崩れそうな気がする。






鉄道マニアとして言ってるのではないのです。
社会学徒として、ポピュラー文化研究に携わる人間として、
考えなければならないのです。






…はい、半分は冗談です(笑)。でも半分は本気。











7.7 wed.

1日の最高気温が30度を超えると「真夏日」
それが35度を超えると「超真夏日」(もしくは「猛暑」)
逆に、最低気温が25度以上だと「熱帯夜」



じゃ、最低気温が30度以上のウチの部屋って・・・「超熱帯夜」?



早くエアコン届かんかいな・・・。干からびそ。
(10日前に購入するも、サトームセンの手違いでまだ届かず)






さて、選挙公報を熟読。どの党も相変わらずどんぐりの背比べですが、
あえて整理するとすれば、茶有的にはこんな感じです。



このまま座して死を待ちたい人は、自民党



自民党以外ならどこでもいいという人は、民主党



将来、宗教法人を立ち上げたいと思ってる人は、公明党



憲法は9条までしかないと思っている人は、社民党



日の丸の赤白を反転させると面白い、と思った人は、共産党



略称「みどり」を、源氏名?と思ってしまった人は、みどりの会議



略称「女党」を、「めとう」と読んでしまった人は、女性党



とにかく笑いを追求したい人は、又吉イエス(笑)。






ラディカル右翼を応援するSay Hello to Max Weber!は、
「維新政党 新風」を強力プッシュしています。






付記

これを書いた後で、女性党の母体が化粧品会社「アイスター」であることを
知りました。確かに、党代表・町山恵子氏のプロフィールを見ると、
「化粧品会社員」になっています。



アイスター(アイレディース化粧品)といえば、マルチ商法で被害者続出の
トラブルメーカー。代表者は新興宗教(「和豊帯の会」)まで立ち上げ、
代理店の人間を中心に入信させているとか。



そして何より、元ハンセン病患者の宿泊拒否で問題となった
「アイレディース黒川宮殿」の運営会社。



もちろん投票は個人の自由ですが、単なる勘違いフェミニズム団体と
思って侮っていると、足元すくわれるかも。
資金力と組織力のある宗教団体って、政党としては一番タチが悪い。
与党にまで上りつめてしまった某党のような例もあることですし。






少なくとも「めとう」なんてネタにしている場合では、ないです。たぶん。









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