ひとりごと
〜2004.December〜

Now the missiles are on their way
What a crazy fluke, we're gonna get nuked
On this jolly holiday

(Weird Al Yankovic "Christmas At Ground Zero"より)



12.28 tue.

あんな凹んだ日記をトップに残したまま年を越すのも嫌なので、
今年最後の更新をば。
(ちなみに精神状態は良好です。みなさんご心配をおかけしました)








先月の韓国旅行の影響で…という訳ではないのですが、
先日、ここ5年間の韓国のミュージックビデオ(MV)を
集めたDVD−BOX6枚組を入手することができました。





韓国からの留学生の友人(彼女も同じ大学院でポピュラー音楽の
研究をしているのです!)から、「韓国のMVはおもしろい」と
いう話は聞いており、気にはなっていたのですが、先日たまたま
ヤフオクに立ち寄った際、破格の値段で出品されていたので、
すぐに入札し、見事ゲットしたのでした。





で、この前、風邪を引いて一日中部屋で寝込んでいたときに、
全76作品を一気に鑑賞。いや、これは本当におもしろかった!







まず、韓国のMVは、ほとんど全部がドラマ仕立てなのです。
出演はすべて本物の俳優・女優(歌手自身は出演しない)。
これは、MVが俳優のプロモーション・ビデオにもなっている
からなのだとか。うーん、国が違えば業界の考え方も違うもんだ。





そもそも4分〜5分の曲に対して、MVの尺が7分以上あるのが
普通という時点で、日本や欧米のMVとは根本的に作りが違ってます。
で、曲が始まるまでの数分間は、フツーにドラマが展開されてる
訳です。もちろん、セリフからBGMから全部有りで。





制作費も、日本とは較べものにならないほど高いとか。
たった7分の作品に映画並みの予算を注ぎ込んでいる
訳ですから、クオリティ面でも、予算縮小傾向にある
日本のMVより、見ごたえのあるものが多いです。








でも、なにより面白いのは、そのドラマの内容!
今回見た作品のほとんどすべてが、コテコテの恋愛悲劇。
しかも、最後に必ず、主人公か、主人公の恋人が、死ぬのです。
いくら「絶対にこれはハッピーエンドだろー」という展開であっても、
最後の最後で、必ず死ぬのです。つか、無理矢理にでも、殺すのです。





今回は72作品を観たわけですから、DVD6枚の中で、
少なく見積っても72人は死んだことになります。
で、72人も死ねば、当然その殺し方もあれやこれやと
多彩になってくるのは必定ですね。





一番多いのは自動車事故。でも、単なる事故では終わらず、
必ず爆発炎上するのが韓国流です。中には主人公の恋人が、
悪役のヤクザによって乗っていた車にガソリンをかけられ、
火をつけられ、車ごと焼き殺される、という残酷な作品も
ありました。





続いて病死、銃殺、凍死などが多いパターンですが、
例えば凍死でも、恋人の家の前で帰りを待ってる間に眠りに落ち、
そのまま雪に埋もれるような純愛系のパターンから、雪山で雪崩に
巻き込まれる山岳救助隊のような壮絶なパターンまで、いろいろ。
(いや、冗談じゃなくて、本当にあったのです。こんなMVが)





徴兵された恋人を追い、国境地帯へ迷い込んだ女性が、
地雷を踏んで死ぬ、という作品などは、未だ戦争の
終わらぬ韓国ならではの恋愛悲劇というべきか。
(いや、だから本当にあったんだって!こんなMVが)





極めつけは、航空機事故で恋人を失ったパイロットの主人公が、
自らプロペラ機を操り、山へ突っ込んで自爆するMV。


(…失礼なのは十分承知していますが、それでも日本人の
感覚からすると、もう笑うしかありません。うほほー)





前述の友人の話によると、今から5年前、韓国で初めて本格的MVが
制作され、大ヒットしたときのその作品が、最後に恋人が死ぬコテコテの
恋愛悲劇だったため、その後に作られるMVもすべてこのパターンに
なってしまったのだとか。「MVとはこういうものだ」という、
一種の「刷り込み」みたいなもんですね。


(でも、その友人いわく、さすがに韓国人も最近はこのワンパターンに
飽きてきているのだとか。うーん、遅いと思うぞ。気づくのが)








日韓における音楽業界の構造の違いがよく分かる資料として、
私にとっては最高に価値のあるDVD6枚組となった訳ですが、
そうでなくとも、普通に、文化の違いを楽しめる作品集です。








…あまりのワンパターンに、1枚観ればお腹いっぱいになりますが。
で、5枚目過ぎたあたりになると、もはや拷問に近くなってきますが(笑)。








何はともあれ、来年は今まで以上にMVに埋もれる1年間になりそうです。
たかだか恋愛悲劇72本くらいで根をあげてどうする、というお叱りの声が、
いろんな所から聞こえてきそう。








でも、お願い。正月くらい、ゲームもさせて。エースコンバット5(笑)。










12.21 tue.

本当にちょっとした不注意で、いつもものすごく
お世話になっている人を激怒させてしまう。




これは効いた。とてもとても、ヘコんだ。




こんなにヘコんだのは久しぶりだ…と思ったけれど、
そういえば、今年の初めにも、同じようなことがあったっけ。
結局一年間、何も変わっちゃいない。




ものすごくヘコんだとき、よく「ココロここにあらず」状態になる。
当然ミスも多くなって、他の人にも迷惑をかけてしまう。
また落ち込む。またミスする。ヤケっぱちになりたくなるが、
そこまでの勇気は、ない。最悪の落ち込みスパイラル。




何とか気分を変えようとするのだけれど、つい怒らせてしまった
相手のことを考え、申し訳なくてたまらなくなってしまう。
そして、自分の情けなさに、どうしようもない嫌悪感を覚える。
いろんな感情がだんだん入り混じってきて、最終的には恐怖に変わる。
会社を辞めて、もうすぐ二年。何も変わっちゃいない。




鉄の心臓、とまではいわないけど、もう少し、打たれ強くなりたい。
今の自分の心の強度は、豆腐以下だ。




さっき久しぶりに鈴木彩子の曲を聴いたら、少し落ち着いた気がする。


だって今 僕が全部
まったく 動けないくらい
よっぽど 弱まっている
非常事態だって

(「ガラスのような雨」)



このあたりの単純さは、中学生の頃から、何も変わっちゃいない。




あしたには、立ち直りたいと、強く思う。




「きっとやれるさ。やらなければ。」









12.18 sat.

もう一ヶ月近く前の話になりますが、福岡の実家に帰ったついでに、
ちょいとヨン様を見に、韓国まで遊びに行ってまいりました。
(…と思ったら、ちょうどその時、ヨン様は来日中でした。残念!)




何せ福岡から韓国・釜山までは高速船で片道2時間55分。
オフシーズンのツアー利用で、2泊3日15000円(ホテル代込み)。
東京からの片道航空券よりも安いのです。




今年は熊本で学会があったため、たまたま11月に帰省していたのですが、
せっかくオフシーズンに帰って来たんやから、どっか旅行でも行くか!
となり、地元の友人と相談して、韓国行きを決意したのが出発4日前。
実際に旅行会社に予約を入れたのが、出発2日前。
…とても海外旅行とは思えぬやっつけ加減(笑)。




釜山は数年前、家族旅行で行ったことはあったのですが、
自分で企画して行くのは今回が初めて。
いいのか?そんなやっつけ仕事で…と思いつつ、
結局、何の事前準備もしないまま旅行当日に。








出発日は晴天。波もなく、船は全く揺れない感じ。
それもそのはずこの高速船、簡単に言えばジェットエンジンで海水を
斜め後ろに噴出させ、海面から1mほど上空を「飛行」するのです。
非常に快適なクルーズ(フライト?)を満喫できました。




(ちなみに、高速船はこんな感じ。この「飛行する」という
船の仕組みが、後で重要な意味を持ってくるのです…)




前日あんまり寝てなかったので、ぐっすりお昼寝を満喫して、
目が覚めればそこは韓国。 相変わらず海外旅行感はまったく無し。




安いツアーなので、着くなり土産物屋に連行されるのは宿命というべきか。
が、運の良いことに、連れて行かれた免税店ではヨン様グッズを無料で
プレゼントしてくれました。親がヨン様ファンなので、これで土産は完璧(笑)。








一日目の夕食は「ソロンタン」。
同行した友人が、絶対に旨いから、と知人に勧められたという、
牛肉入りにゅうめん。味はほとんどついておらず、塩やら
キムチやら胡椒やらを入れて自分好みの味にして食べる感じ。




正直、絶対に旨い、というほどの味でもなかったけれど、
現地の人しか入らなさそうな庶民的な大衆料理屋で食したので、
異国情緒は満喫。ようやく海外に来た気分になりました(笑)。




ちなみに、二日目の昼食は石焼きビビンパ。
私たちが入ったのは、日本の吉野家みたいな感じのお店だったらしく、
何とビビンパ一杯250円。でも、甘辛いコチュジャンとパリパリの
おこげが、もんのすごく旨い!お腹も財布も大満足。




で、二日目の夕食が、やっぱり焼肉。
タレに漬け込んだ骨付きカルビは、熟成された味で言うことないのだけれど、
今回は念願のサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)にも挑戦。
かなり厚くスライスされたバラ肉が出てきて一瞬驚いたのですが、
塩味のあっさりとしたタレにつけて食べると、これまた美味。
「クッキングパパ」で紹介されてて、一度食べてみたかったのよ。




あと、これも念願だったチヂミも食べてきました。こちらは屋台で立ち食い。
韓国版お好み焼き、といった感じなのですが、具はきわめてシンプル。
その代わり生地にもほんのりと味がついてる感じ。お好み焼きソースのように
ドロドロしておらず、そして塩っ辛くもない、甘味のあるタレが旨い!
今回は食べるものが庶民派でした。ま、旅行してる人自身が庶民やから(笑)。



で、庶民の旅行らしく、街歩き中も庶民的な楽しみ方をしてきました。
その集大成ともいうべき、
釜山で撮り集めたネタ写真集はこちら!
ひとつひとつツッコんでいくとキリがないのだけれど、こういう
どーでもいいところにこそ外国の人たちの日本へのまなざし方が
現れているような気がして、やっぱり楽しいのです。








そういえば珍しいことに、今回は友人(もちろん野郎)との二人旅でした。
私は旅行では何よりもノリを重視するので、このノリを共有できる
人でないと、一緒に旅行しても絶対に楽しめないどころか、
お互いに不愉快になると思うので、基本的には一人旅なのです。
でも、今回は思った以上に楽しめました。
さすが十年来の親友(悪友?)。私のノリをよく理解していらっしゃる(笑)。




その友人たってのご希望で、今回は
実弾射撃場にも行ってきました。
銃の反動ってすごいのですね。話には聞いたことあったのですが、
実際は予想以上。一発撃つたびに、腕や肩がじんじん痺れる感じ。
この実弾射撃、友人は私以上にハマってしまったらしく、また撃ちに
来たいとしきりに言ってました。間違っても自衛隊とか入るなよ(笑)。








さて、飲む(食う)、撃つ、と来れば、次に来るのは…。
そう一つしかありませんね(笑)。




で、結果はどーだったかというと。




はい。茶有は、そもそも買う気がありませんでした。
(お金無いし、病気怖いし…)




友人は、興味はあったけど、勇気がありませんでした。
(どうもそっち系のお店の密集地帯までは行ったらしいのですが、
入るだけの度胸はなく、逃げ帰ってきてしまったらしい。おいおい)




なんて健康的なオトコ二人旅(笑)。
結局、二人ともチキンだったことに変わりはない訳ですが…。
で、両親に頼まれてたオメガの時計(もちろんパチモン)やら
冬ソナグッズやらを「買って」、釜山でのお買い物は終了しましたとさ(笑)。




あ、あと、韓国名物「唐辛子チョコレート」も買ったっけ。
その名の通り、チョコレートの中に激辛唐辛子ペーストが練りこまれた一品。
何も言わずにお土産として渡せば、口にした人全員が凍りつきます(実話)。








そんなこんなで二泊三日の釜山を満喫して、帰国日。
この日は朝から曇り空だったのですが、乗船の時間になって、
いよいよ雨が降り始めてしまいました。




そして、何より恐ろしいのはその風!
帰国してから知ったのですが、その日は11月としては記録的な、
15m/s近い(傘がさせない程の)強風が吹き荒れていたのです。
当然、海もとんでもない荒れ方をしております。
こんな中、福岡への船旅は強行されたのでした。




さて、普通の船であれば、波の強い日は、ゆっくりと、そして大きく
上下運動を繰り返しますね。水面上で波を乗り越えて進むのですから、
当たり前といっちゃ当たり前です。




ではここで、この高速船の構造を思い出してみましょう。
この船は、水面から浮き上がり「飛行する」構造を
しているため、普段は波の影響をほとんど受けません。
でも、その浮き上がり方以上に波が高いときはどうなるか?
…そう、壁のように立ちはだかる波の中へ、
時速80kmで突っ込んでいくことになる訳です。




そのときの船内の様子。








ブイーン(航行音)……




ガコッ!!!(波に突っ込む音)




ザッバーン!(波を乗り越える音)








細かい振動→激しい衝撃→大きな上下運動。
これぞ船酔いパーフェクトコンボ!!!




友人も含め、乗客の半数近くが耐水袋に向けてゲーゲーやってる
悲惨な状況は、その後三時間半にわたって続きましたとさ
(私は強力な酔い止め薬を飲んでいたので吐かなかった)。
で、みんなヘロヘロになりながら、何とか福岡へ到着。
まあ、これも旅の思い出ってことで。








いろいろあったけれど、やっぱり、これで15000円は安いと思う。
大満足の三日間になりました。
でも、次に行くときはもうちょっと男気を見せようね。親友Sよ(笑)。


(つか、わざわざ韓国まで行かなくても、すぐ隣町=大久保界隈に行きゃ
いっぱいあるんだよね。そういうお店。どっちにしろ行かないけど。)








それより、次に行ったときこそプルコギ食べたい…(笑)。












12.7 tue.

『電車男』読了。
(といっても、1ヶ月以上前に読み終わってはいたのですが)
この作品については言いたいことがいろいろあるので、一つずつ。








まず思ったのは、この話って、一体どこまでが本当のことなのか。
別に話の真偽は本質的な問題ではないのだけれど、一応、実話という
触れ込みになっている以上、たとえこれが作り話であったとても、
そう感じさせない演出が必要なのではないかと。




最初におかしいと思ったのは、
主人公(電車男)がHERMESを読めなかったところ。



115 名前:731こと電車男 投稿日:04/03/16 22:35

>>104
HERMESって書いてあるけど。どこの食器メーカーだろ



118 名前:Mr.名無しさん 投稿日:04/03/16 22:35

>>115
えるめすじゃん!



132 名前:731こと電車男 投稿日:04/03/16 22:38

エルメスってバックとかの?
それはブランド物じゃん
やっぱ高いのか?
食器とかも作ってるの?

マジレスきぼんぬ




このやりとりが不自然。普通「どこの食器メーカーだろ」って
質問(独りごと?)の仕方はしないのでは。
「どこのメーカー(orブランド)だろ」という聞き方なら分かるけど、
必要以上に「食器メーカー」と思い込んでいることを
強調した表現になっているように思えるのは、私だけ?








そして、それ以上におかしいと思ったのが、
ヒロイン・エルメスの決めセリフの数々。



55 名前:Mr.名無しさん 投稿日:04/04/04 00:44

エルメス語録

「ははw、実はカマかけてたんですw」
「はい。ちゃんと掴んでますからw」
「きっと言っても聞かないんでしょうねw」
「友達にはよくムーミンに似てるって言われるんですよw」
「和食ってなんか電車男さんらしいですね」
「そうですか?w じゃあ私もおめかししていきますのでw」




いい年した女性がこんなセリフ言ってるシーンを、
冷静に、想像してみてください。




…うーん。どーしても現実離れしてるように思えるのよ。
なんか、アニメっぽいのよ。
要するに、萌え台詞なのよ。
ストーリーも全体的にアニメ(or萌えゲー)感が漂いまくってるし。








そういえば、東浩紀氏は(引用しすぎスマソ)、葉鍵系ゲームに
見られるような「泣ける」ノベルゲームを「オタクたちに人気のある
萌え要素を徹底的に組み合わせ、彼らが効率よく泣き、萌えるための
一種の模範解答を提供するために作られている」とし、その代表的な
例としてギャルゲー『Air』を挙げていました。




そして「そこで求められているのは、旧来の物語的な迫力ではなく、
世界観もメッセージもない、ただ効率よく感情が動かされるための
方程式である」という一文でこの節をまとめていました。




では、事の真偽はともかくとして、『電車男』内の進行や台詞回しが、極めて
アニメ・ゲームチックである、という前提を、とりあえず敷いてみましょう。
(もちろん「そんなことない」という反論も出るとは思いますが)




もしもこの前提が認められるのであれば、『電車男』の流行は、アニメや
ゲームに見られる、効率的に泣かせるための「萌え要素の組み合わせの妙」が、
実は非オタク層にも適用可能であることを証明したことになります。




そして『電車男』(とその文中のアニメ的萌え台詞)が、あくまで純愛モノとして
消費されたこと、つまり「セカチュー」と同じ文脈で消費されたことを考えると、
むしろ萌えに代表されるような「データベース型消費」が、オタクのみならず
若い女性へと、そしておば様たちへと(ヨン様好き≒メガネっ子萌え!)、
確実に拡大していることは、もはや明らかです。




おそらくセカチューに涙する女性たちが最も嫌うであろう、オタク人種。
しかし「感情的な満足をもっとも効率よく達成してくれる萌え要素の
方程式を求めて、新たな作品をつぎつぎと消費し淘汰している」という
意味では、空港で絶叫する森山未來に涙するOLさんも、がおがお言ってる
美鈴ちんに萌え萌え言ってるオタクの方々も、まったく変わらない訳です。
東浩紀氏だったらこの状況を、動物化の拡大といって嘆くのでしょうが。








『電車男』のヒットは、少なくとも私にとっては、純愛ブームにハマる
女性たちと、美少女ゲームにハマるオタクたちとの相同性を、何よりも
象徴的に明らかにした出来事だったのでした。








そしてもう一つ気になったことがあります。
それは「新潮社はなぜこの作品を書籍の形態で発売したのか?」という点。




BBSでのやりとりをパッケージ化して販売した前例としては、岩井俊二の映画
「リリイ・シュシュのすべて」の原作となったBBSが「パスカル(岩井のHN)」の
後日談を大幅に追加した形でCD-ROM化された事例があります。




ただし、この作品は書籍版も角川書店から発売されており、
おそらく売上げとしては、CD-ROMは書籍に到底及ばなかったで
あろうことは、容易に推測できます。
(もちろん販売網の差が一番大きいとは思うのですが)




でも、全体として見れば雑誌・書籍の売上げは右肩下がりの状態が続いており、
従来の紙メディアに頼らない新しい情報媒体/流通形態を生み出さない限り、
このままでは大手出版社といえども生き残れない時代がやってくる、というのは
もはや常識なはず。




不況で経営は苦しいし、売れる本は確実に売って赤字の穴埋めをしたい
気持ちは理解できます。が、それを続けるだけではいつまで経っても
紙媒体から脱却することはできず、結局のところ、座して死を待つ、という
最悪の結果にしかならないのではないかと思うのです。




今回は元になったページが無料サイトとして現存している以上、
WEBに課金する形はとれないのですが、それこそノベルゲーム的な演出を
加えることだってできたはずだし、何らかの付加価値を加えて電子形態
(もしくは紙媒体以外の何らかの媒体)で発売することはできたはず。




新潮社は、ある程度の売上げを見込めるコンテンツだからこそ、
紙媒体以外での情報流通のあり方を実験するべきではなかったのか。
それをやらず、ブームに乗せて昔ながらの純愛「本」として売り出したのは、
もちろん当面の利益を確保するための戦術としては、正しいと思います。
でも、新しいビジネスモデルの構築を迫られる出版社の戦略としては、
明らかに失敗だったのではないかと。




CD-ROMなりDVDなりネットなりで、誰かが新機軸を作り出し、
それが売れたという事例が生まれない限り、出版社は動かないんだろーなー。
自分でリスクを負うのを極端に嫌がる人たちやから。文化産業の方々は。








棚からボタ餅が転がってくるのが先か。それとも業界が壊滅するのが先なのか。








もうひとつ気になるのは、この作品の原稿料は誰に行くの?って点。
ネット上の書き込みにも著作権が存在していることは、過去の判例で
明らかになっています。つまり「オレも書き込んだ!」と名乗り出れば、
原則として新潮社(作者?)に報酬を請求することは出来るはず。




…ただしこの場合、書き込み者のほとんどが「名無しさん」であり、
個人の特定(=本当の書き込み者であることの証明)は非常に困難。
しかも、今回は「まとめサイト」といって、ある人物が2chの膨大な
書き込みを別サイトに勝手にダイジェスト版としてまとめたものを
書籍化したため、間に「編集者」(もちろん書き込み者の許諾は無い)が
入り込んでいるような状態なのです。




あちこちで憶測は飛び交っているし、自分にもそんな下世話な推測以上の
ことはできないのですが、それにしても気になります。
一体、誰が、どれだけ、どんな配分で、原稿料もらってんだ?




何となくうやむやの内に、新潮社に莫大な売上げが転がり込んできてそうで、
腹立たしさはさらに倍増。誰か「俺は名無しさんの1人だ!」って、
報酬請求裁判でも起こしてくれんやろか。


(そして、2ちゃんねらーには、そんな裁判を起こすような気概なんて
絶対に無いだろうってことまで見越して新潮社も出版権買ってそうな
気がして、腹立たしさは3倍増)








久しぶりということもあって、語りすぎた気がしますわ。
(更新より先にやらなきゃいけないことが山盛りなのに…)
『電車男』については、とりあえずこんな感じで。








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